無頼庵’s競馬ブログ

JRA競馬予想と競馬に関する独断と偏見のブログです。https://twitter.com/BrianYs07

日経新春杯…悲運の貴公子テンポイント

今年も日経新春杯が開催されました。
本来は京都競馬場で開催されていましたが、改修工事のため昨年に引き続いての中京開催でした。


残念ながら仕事に追われて馬券参加できませんでした。


そこで先日ツイッターに書いた流星の貴公子テンポイントについて、詳しく知らない方が多いようなので、ブログに書き起こすことにしました💡




日経新春杯は今年で第69回目。1976年に開催されたこのレースで、流星の貴公子、悲運の名馬といわれたテンポイントが、単勝オッズ1.3倍の圧倒的人気に支持されながら勝利を目前にして左後肢を骨折、競争中止となったレースが蘇ってきました。


このとき、雪の舞うレースでハンデ66.5kgという酷量を背負わされたことが遠因だとして、以後JRAのハンデ体系が見直されるきっかけとなりました。


骨折の程度からして、本来なら予後不良として処分されるほどの重症も、関係者が10数人の最高の医療チームを集めて緊急手術を実施。命だけでも助けたいと願うも43日後に治療もむなしく、テンポイントは明け5歳という充実期に天に召されました。

治療の状況やファンの回復を願う声など、テレビや全国紙にまで何度も取り上げられ、競馬を知らない人にまでアイドルホースの回復を願う応援の声は広がっていきました。


戦績
18戦【11-4-1-2】
明け5歳没(当時の馬齢表記では6歳)
2度の着外はいずれも骨折によるもの。

主な戦績
阪神3歳ステークス勝利(当時の馬齢で今の2歳)
皐月賞2着
ダービー7着(レース中故障)
菊花賞2着
有馬記念2着

天皇賞春1着
有馬記念1着

【血統】
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デビューから無傷の5連勝で皐月賞に向かい、それ以降宿命のライバルとなるトウショウボーイに敗れる。

※ちなみに天馬といれたトウショウボーイはのちに種牡馬として三冠馬ミスターシービーを輩出している。


ダービーでは、短距離系テスコボーイを父に持つトウショウボーイに距離不安の声もあって、雪辱を期待されながらまさかの7着敗退。

のちにレース中骨折していたことが判明。
その間隙を縫って戴冠したのはクライムカイザー。


故障癒えて復活した菊花賞
ここでもまた…、秋を迎え急成長してきた伏兵グリーングラスに足元をすくわれクラシック無冠に終わる。


そして、3歳最後の有馬記念で、またも天馬トウショウボーイの後塵を拝することになり、不完全燃焼で1年を終えることになります。



しかし、年が明けて4歳になってから、これまでの鬱憤を晴らすが如く覚醒!


2月に京都記念、3月に鳴尾記念と連勝し、迎えた天皇賞春を制覇!


夏場を休養にあてて迎えた秋初戦の京都大賞典では、逞しく成長した姿でスタートからあっと言わせる逃げに出て、ゴールまで他馬に影をも踏ませぬ快走で2着馬を1.3秒ぶっちぎる勝利🐴⚡

ファンの期待を超える成長した姿を見せてくれました。



その後連勝してファン投票1位で迎えた4歳での有馬記念

スタートしてまずはトウショウボーイが先頭に立って逃げるも、すぐさまテンポイントが交わしていく。
しかしまたしてもトウショウボーイが抜き返していくという抜きつ抜かれつの凄まじいマッチレースの様相に。

普通なら共倒れになってもおかしくないせめぎ合いは、ゴールまで他馬は眼中にないといった壮絶な意地と意地のぶつかり合いとなり、そのままゴールまで駆け抜けたました。


直線でなんとか2頭に食らいついて3着に押し上げてきたのは最強TTG世代の一角グリーングラスのみで、4着入線の同年菊花賞プレストウコウは3強から6馬身離されていました。


歴史に残るマッチレースを制したのは流星の貴公子テンポイント

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ゴールまでマッチレースを繰り広げる、トウショウボーイ(左)とテンポイント(右)


そしてもうひとつ、テンポイントには奇跡の誕生秘話がありました。


祖母クモワカは、治療法がない伝染性貧血症と診断され殺処分の決定がくだされました。しかし、診断に疑念を抱いた関係者は手を尽くして北海道の牧場へ移送させ、その後、生まれたクモワカの子供の血統登録を巡って裁判が行われますが、伝貧が誤診だったと判断され無事に血統登録を果たします。
その子ワカクモは桜花賞を制し、そして名馬テンポイントの誕生へと繋がります。

まさに奇跡の系譜を経て産まれてきたのがテンポイントだったのです。


テンポイントは父コンドライトより偉大な祖父Never Say Die に見た目も非常によく似ており、隔世遺伝が強く出ていると言われていました。


生きていれば、その素晴らしい血が現在に繋がっていたかも知れません。


テンポイントよ安らかに…。