2020 競馬を振り返る③非社台系の逆襲
下剋上!社台帝国に異変!
昨年の三歳クラシック戦線は、ノーザンファームを筆頭とする社台グループから1頭の勝馬も出ていません。
牡・牝とも非社台系のコントレイル、デアリングタクトがすべて勝っている訳で当然といえば当然なのですが(笑)
この異変は勝馬だけでなく、非社台系生産牧場、個人生産牧場から下記のように複数の活躍馬が出現していることからも読み取れます。
その中には激安ともいえる価格で取引された馬も目立ちます。
社台グループが競馬界を席巻している日本の競馬界。
それはそれで今日の日本競馬に対する貢献度は圧倒的であり称賛されるべきものです。ただ日高や浦河など歴史ある生産地が、経済的にも苦境に立たされている中からこうして活躍馬が登場してくることは、それら馬産地に希望を与えることになり、判官びいき的視点から見ても喜ばしいことだと思えます。
サラブレッドの価格としてはわずか1.200万円のデアリングタクトが史上初の無敗牝三冠馬になったなんて痛快じゃないですか♪
速さ、強さだけじゃない…。こうしたところにも競馬にロマンを感じてしまうのです。
【非社台系の3歳活躍馬】
■桜花賞3着、重賞2勝
スマイルカナ(新ひだか町・木田牧場)
■オークス2着、重賞1勝
ウインマリリン(新冠町・コスモヴューファーム)
■オークス3着
ウインマイディー(新冠町・コスモヴューファーム)
【中小牧場生産で2000万円未満落札馬】
■無敗の牝三冠馬
デアリングタクト(日高町・長谷川牧場)
セール落札価格 1.200万円
■セントライト記念含む重賞2勝
バビット(浦河町・大北牧場)
セール落札価格 500万円
■神戸新聞杯3着
ロバートソンキー(新冠町・長浜牧場生産)
セール落札価格 1.000万円
■日本ダービー5着、菊花賞4着、重賞1勝
ディープボンド(新冠町・村田牧場)
セール落札価格 1.650万円
※すべての該当馬を網羅している訳ではありません。
写真はスマイルカナ(JRA-VANより)
2020 競馬を振り返る②大ブレークした騎手
今年最もブレークした騎手は…松山弘平!
全体としては相変わらず年間204勝を挙げ断トツリーディング獲得のルメール騎手一強という結果で終わりましたが、ルメール、川田、福永に続く堂々の127勝で全体リーディング4位と大躍進!
3歳牝馬デアリングタクトと無敗でクラシック三冠を制し、2017年アルアインで初のG1皐月賞を制して以来のG1 4勝目を成し遂げました。
重賞競走は年始の京都金杯をサウンドキアラで制してから快進撃が始まり、一気に年間9勝を挙げました。
2020年を含めて、これまでの重賞通算勝利が20勝ですから、一気に半分近くを稼いだことになります!
その勢いは2020年締めくくりの有馬記念でも!
敗れたとはいえテン乗りで11番人気サラキアで勝馬クロノジェネシスにクビ差まで迫る大健闘を見せました。
もともと誠実で実直な人柄を感じさせる好きな騎手だったのですが、今年はレースごとに松山騎手はどの馬に乗ってるのかな…と、特に気になる存在になっていました。
思えば2017年皐月賞。9番人気のアルアインでG1初勝利を挙げながら、次走ダービー5着以降はルメール、川田といったトップジョッキー乗り替わり。
悔しさもあっただろうに腐ることなく真摯に競馬と向き合い重ねた努力が報われた年だったと思います。
本当におめでとうございます。
振り返れば皐月賞で人気薄アルアインの単勝を的中した縁で松山騎手に注目するようになり、同馬の鞍上を他に持っていかれたときには「なんでやねん!」と残念な気持ちになり、その頃から特に応援するようになりました。
初の年間100勝超えを達成し、来年はさらなる活躍を期待しています♪
2020 競馬を振り返る①牝馬の年
2020年は記録的に牝馬が席巻した年でした!
平場の古馬牡牝混合芝GⅠ戦線は年間10競争のうち牝馬が9勝と圧倒!
牡馬の1勝は天皇賞・春フィエールマンだけという記録的な牝馬の大活躍で幕を閉じた!
史上初9冠を達成し引退したアーモンドアイを筆頭に、宝塚記念、有馬記念の同一年春冬グランプリを制覇したクロノジェネシス。
スプリンターズS・安田記念・マイルチャンピオンSと3勝のグランアレグリアなど、短距離から中長距離までカテゴリーを問わず活躍馬を出した。
ひとつには牡馬古馬の層が薄くなっていることもあるが、従来の競馬の概念を覆した快挙であることは間違いない。
今回1番人気で有馬記念を制覇したクロノジェネシスは、3歳春の馬体重が430kg台から秋を迎えて452kgと実に20kg増加。秋華賞で初のG1制覇を成し遂げた。
そして4歳で迎えた宝塚記念では、さらに464kgと成長し圧勝でG1 2勝目を挙げ、先の有馬記念でも474kgと馬体を増やしていたが決して太くはなく、まさに馬体と精神的成長の著しい進化を遂げていた。
昨年、同様に春・冬のグランプリを制したリスグラシューと成長過程が被って見えていた。
血統的には父のバゴからは2010年人気薄で菊花賞を制したビッグウィークが出ているが、とりたてて大物は出ておらず突然変異的に女傑が輩出されたことになる。
母クロノロジストの父クロフネ、母父サンデーサイレンスのラインからの優性遺伝がもたらした優秀な血が反映されているのだろう。
姉のノームコアの父はバゴと同じく欧州の種牡馬ハービンジャーであるが、こちらも先の香港カップを欧州の強豪マジカルらを破って戴冠している。
クロノジェネシスは馬場を問わず、パワーと切れを兼備した万能型!
まさに父、母の双方から良いとこ取りされたような素晴らしい馬である。
彼女なら欧州の重い馬場を克服して凱旋門賞を勝てるかも知れない。そんな夢を抱かせてくれる名馬に成長してくれた。
アーモンドアイやラッキーライラックなどの名牝がターフを去ったが、来年はクロノジェネシスが、コントレイル、デアリングタクトの三冠馬たちと更に競馬を盛り上げてくれることだろう。
写真は史上初9冠獲得のアーモンドアイ(JRA-VANより)
コロナ禍2020年最終週のGⅠ♪
コロナ禍での無観客開催があったりで大変な2020年のJRA日本中央競馬も、いよいよ年末最終開催を迎えます。
皆さんよく言われるようにコロナで制約の多かった中で、中止になることもなく通年開催されたことに競馬ファンとして関係者皆さんの努力に改めて敬意を表したいと思います。
いよいよ年末最終週は、日曜中山で有馬記念、土曜は同じく中山でホープフルSと平地GⅠが開催されます。
馬券検討は追切り・枠順が決まってから改めてになりますが、先のジャパンカップで1〜3着を決めたアーモンドアイが引退。
牡・牝の三冠馬、コントレイル、デアリングタクトはすでに放牧に出されており、その他のメンバーでの闘いとなります。
とはいえ流石に有馬記念。
コロナで海外参戦する馬が減ったこともあり中々の好メンバーが揃いました。
自身も馬券の年間収支を締めるためにも最後はプラス収支で気持ちよく締めたいものです。
そこで、現時点で1・2番人気以外から注目している馬を!
人気は、フィエールマン、ラッキーライラック、クロノジェネシスが中心でしょうか。
カレンブーケドールは前走ジャパンカップで牝三冠馬デアリングタクトと僅差の4着。
GⅠでも3度の2着があり、昨年の秋華賞では今回人気の中心となるであろうクロノジェネシスの2着という実績も。
斤量も牡馬より2kg軽い55kgで出走。
叩き3戦目で上昇機運に乗っており、鞍上は有馬記念男の池添謙一!大きな仕事をやらかすことに期待したい。
【ホープフルS】
☆ランドオブリバティ
人気は、ダノンザキッド、オーソクレース、ヨーホーレイクあたりか…。
ただ、朝日杯フューチュリティSがそうであったように、2歳のこの時期は力量比較が難しく、特に今年の牡馬戦線は勢力図が混沌としている。
なかでは、レースぶりからダノンザキッドが一歩先を行っている感じはするが、それとていまのところ信頼に足りるほどではない。
ランドオブリバティは、ここまで人気上位馬と同じくデビューから2連勝!
2レースとも発馬を決めてスムーズに前目につけての強い競馬。
血統的にも重賞勝馬リバティハイツの弟として、父がキングカメハメハからディープインパクトに替わり軽い走りで将来共に期待がもてる。
中山のトリッキーなコースで先行力が生きると期待♪
写真はランドオブリバティ(JRA-VANより)
阪神ジュベナイルF(GⅠ)
いよいよ2020年の競馬も師走を迎え、GⅠレースは古馬の有馬記念、2歳戦の阪神JF、朝日杯フューチュリティS、ホープフルSの4レースを残すのみとなりました。
この一年、コロナ禍の中で無事にレースが開催され、牡牝2頭の無敗三冠馬誕生やジャパンカップで3頭の三冠馬によるワン・ツー・スリーフィニッシユなど歴史的なレースを観れたことに感謝しています。
そして次の日曜日は来年のクラシックホースを狙う2歳牝馬、乙女たちの戦いです。
戦前の評価は、重賞2勝を含むデビューから3連勝の白毛馬ソダシと、同じく重賞2勝で3戦無敗のメイケイエールの2頭に人気が集中しそうです。
また、この両馬はともに白毛のシラユキヒメ一族としても注目を集めています。
それに続くのが2戦負けなし良血サトノレイナス、同じくデビュー2連勝のポールネイロンあたりのようです。
ただし、私はこれらで固く収まるようには思えません。
■ソダシ
長く脚を使えるタイプですが、一族はダート向きのタイプが多く、キレに欠ける懸念がありメンバーが揃ってくるここで勝ちきれるか疑問が残ります。
前走のメンバーも比較的手薄でレース内容・時計ともに平凡に映りました。
もし勝ったらゴメンナサイというしかありませんが(笑)
■メイケイエール
前走ファンタジーSでは道中折り合いを欠きながらも2歳レコードタイムで快勝!
デビュー戦の内容からもスピードが勝ったタイプで、シラユキヒメ一族ながら父ミッキーアイルと同じ鹿毛に出ておりマイル以下の短距離で活躍した父の血が色濃く反映されているように思います。
気になるのが距離が伸びることで前走のように折り合いを欠けばゴール前で失速という不安もあります。
■サトノレイナス
サトノフラッグの下という良血馬。
デビューから2戦ともマイルを勝っており、距離経験という意味では有利であり、レースぶりも2戦とも安定した差し切り勝ちで期待値は高い。
ただし、完成度という意味ではまだ幼さを残していて3歳になってからという気もする…。
【注目馬】
☆オパールムーン
札幌で新馬戦を勝ち上がり前走ファンタジーSは3ヶ月半ぶりの実戦。
成長期とはいえ+12キロの馬体増で出走。レコードタイムで勝ったメイケイエールを3/4馬身まで追い詰めた。
最後方追走し四角で大外からメイケイを1秒上回る上がりタイムで肉薄!
まさに驚愕の鬼脚だった!
デビュー戦でも後方から脚を伸ばすレースをしており折り合いには心配なさそう。
ただ2戦を見る限りエンジンのかかりが遅いタイプなのかも知れず、差し届かないという可能性かあるが、休み明け2戦目で上昇が見込めるだけに希望を抱かせる魅力がある。
ノームコアのように鞍上のヨコテンが理解に苦しむ奇策に打って出ない限り…(笑)
世紀の対決!ジャパンカップ♪
いよいよ日本競馬界騒然の歴史的レースジャパンカップが明日出走を迎えます♪
それぞれの戦歴や細かい話はいまさら不要でしょう。
3強と言われる三冠馬3頭による争いで決着するのか、どの馬が勝つのか!?
いや〜ワクワク感が止まらないですね♪
3頭どれにも勝ってほしい気持ちもあり、負けてほしくないという複雑な思いもないまぜになっています。
無敗のクラシック三冠馬コントレイルには、亡き父ディープインパクトの絶対的後継種牡馬につながる道として負けてほしくないし、GⅠ 8勝アーモンドアイには引退の花道を飾らせてあげたい気持ちにもなります。
また、無敗の牝馬三冠馬デアリングタクトには日高の小さな個人牧場から出現した評価の低かった馬による歴史的勝利で夢を見させてあげたいという判官贔屓の感情もあり…。
そうかと言って、他の出走12頭にも3頭の一角に割って入る可能性がないわけでもない。
3頭についても、これまでそれぞれ違う土俵で走ってきた訳で直接比較するモノサシがない。
理由付けはなんとでも言えても、これを予想するとなると最後は好きな馬を応援するしかないのかなと、少なくとも自分はそう思っています。
そこで予想というより勝ってほしい順位となるのですが…。
◎6.コントレイル
○2.アーモンドアイ
▲5.デアリングタクト
馬券はこの組み合わせだけ買って、純粋にレースを楽しみたいと思います。
コントレイル無敗三冠達成♪
日刊スポーツより
2020.10.25 京都11R 菊花賞
1着◎ 3.コントレイル
2着▲ 9.アリストテレス
3着△10.サトノフラッグ
4着✕ 8.ディープポンド
5着_15.ブラックホール
6着△13.ロバートソンキー
7着○ 6.ヴェルトライゼンデ
8着_14.ヴァルコス
9着_2.ガロアクリーク
10着_11.バビット
以下割愛…
【的中馬券】3連単 3→9→10 8,740円
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父子二代の無敗三冠制覇という偉業を成し遂げたコントレイルと福永祐一騎手。
昨年、偉大な父ディープインパクトが亡くなり、その血を継ぐ絶対的有力種牡馬がいない中で出現した超新星!
これから先、デアリングタクトや古馬との戦いでどんなパフォーマンスを見せてくれるのか!?
その先には海外での活躍にも大きな期待が膨らむ。
レースはコントレイルを徹底マークしたクリストフ・ルメール騎乗のアリストテレスとの一騎討ちの様相。
普通ならあの態勢で外から来た馬は、まず差し切るだろう状況で最後まで抜かせなかったコントレイルの根性はさすがのひとこと!
とはいえ、やっと2勝クラスを勝ち上がって抽選突破で出走に漕ぎつけたアリストテレスにここまで苦戦するとは…。
要因は様々考えられるだろうが、以前から陣営が言ってたように距離適正への疑問。
それにプラスして良発表とはいえ重くてスタミナを要する馬場。
逆にこれらをプラス要素にしたアリストテレスとの対比が接戦の要因だと個人的には考えています。
矢作調教師やオーナーの馬への考え方からして、来春の天皇賞など長距離のレースは使わないかも知れません。
とはいえ、それでも最後まで抜かせず三冠を達成したコントレイルには心からの賛辞を贈りたいと思います。